こんにちは。
moyi storeの森です。
先日、大分県日田市の小鹿田焼まで
買い付けに行ってきてました。
小鹿田焼は現在9軒の窯元があります。
当店はそのうち2軒の窯元と取引しています。
その2軒の買い付け分に加え、前から注文していた分の
納品が重なったため、現在大充実な内容の店頭です。
必然的に来店された方の目に留まる機会が
多くなるわけですが、意外と小鹿田焼を
ご存知じゃない方も多い。
にも関わらず、気に入って買っていかれる方が多い、
それこそが小鹿田焼の魅力なわけです。
と、これではブログの内容薄すぎなので、
今回は小鹿田焼の魅力を深掘りしていきます。
先述したように小鹿田焼は大分県日田市の山間部、
通称「小鹿田焼の里」にあります。
日田市は夏になるとその日の最高気温の記録更新
といったニュースでよく名前があがるところ。
地形的に過酷な夏を過ごさねばならない場所です。
そして冬は冬で雪が膝くらいまで降り積もる日もある
まあまあな豪雪地域。
暖かい南の九州、のイメージとはかけ離れています。
おおよそ自然環境には恵まれているとは言えません。
そんな場所で世界的にも有名な陶芸家
バーナード・リーチが絶賛し愛した、
そして民藝の始祖、柳宗悦によって「世界一の民陶」
と称された小鹿田焼は作られています。
1995年に「国指定重要無形文化財」になった小鹿田焼
そのルーツは山ひとつ隔てたお隣の小石原焼です。
1700年頃に小石原焼の陶工を
招き入れ、そこで幕府直轄領であった日田の雑器を
作らせたことからその歴史は始まります。
小鹿田焼と小石原焼が兄弟窯と呼ばれ、
その技法などが似ているのはそのためです。
小鹿田焼の、他の窯元では見られない大きな特色の
一つとして、一子相伝での窯の継承があります。
基本的に小鹿田焼の各窯元には轆轤が2台、
親とその子が回します。
そして、孫がある一定の年齢に達すると
親(おじいちゃん)は轆轤を孫に譲り引退します。
さらに弟子は一切とらず、家族で運営していくのも
小鹿田焼の特色の一つ。
陶土づくりなどは女性の仕事です。
その昔からこのルールを各窯元が守り、
小鹿田焼を伝承してきたのです。
この時代、いやどの時代においても厳しいルール、
数年前、後継ぎがおらず1軒の窯元が廃窯しました。
ここからは僕が思う個人的な意見で
これが小鹿田焼に惹かれるところ、
を箇条書きにてお付き合い下さい。
・機械を使わない
「残したい日本の音風景100選」にも選ばれた
集落内の唐臼の響き。
昼夜を問わず、その「ギー、ゴトン」という音は
里内のどこにいても聞こえてきます。
この唐臼で原土を粉砕して粒子状にしています。
この唐臼に代表されるように小鹿田焼は、
現代においては非効率なやり方で、
現代にあっては不要な手間をかけて、
頑なに昔からのやり方を守ってきています。
小鹿田焼が小鹿田焼たる所以です。
・自己調達
唐臼によって粉砕される原土、
この原土は近隣の採土場から運ばれてきます。
1年に1回、その年に使われる分だけを運び、
それを全窯元で分け合います。
土に限らず、釉薬の原料、窯焚きの薪、
全てmade in ontaです。
そして前述したように全てが手作業。
・登り窯
薪を燃やして自然の炎で焼かれる小鹿田焼。
技術が発展する前から用いられてきた、
斜面を生かして炎を伝わせる登り窯。
歪みやブク(器の表面にできる膨らみ)が起こりやすく、
他のガス窯や電気窯よりロスが多いため、
(歩留まりが悪い、と言います)
非効率非合理的ですが、想像以上の焼き上がりが
出てくることがあるのも登り窯。
何より昔からのやり方、窯においても
そこは不変、小鹿田焼は変えません。
・価格
とにかく安いです。
この価格帯は他ではまずあり得ません。
やちむんのほんの一部の窯元で同価格帯かな。
最近の物価高の影響を受け、おそらく次回くらいの
入荷から1割2割くらい値上げされるそうですが、
そうなったとしても安いです。
むしろ今までなんで値上げしなかったの、
ってくらいの安さ。
・大物
昔は雑器(お皿やお茶碗など)ではなく、
甕や壺を中心に作っていた小鹿田焼。
その技術は継承され、そして登り窯を有しているため
大物が今でも作られています。
(他の窯だと大きなものが入らない)
当店でも今回の入荷以降、積極的に大物を
展開していくつもりです。
インテリアにエクステリアに小鹿田焼を。
・使いやすさ
まぁ優秀です。
受け止めない料理はないんじゃないか、
ってくらいどんな料理にもハマります。
飛びかんな、刷毛目、櫛描き、藁引き、指描き、
イッチン、打ち掛け、などが主な技法ですが、
飛びかんなと刷毛目は全家庭にあっても
いいんじゃないか、とすら思えます。
百聞は一見に如かず、
使ってお確かめください。
毎年10月に民陶祭(陶器市)が現地で開かれます。
もちろん普通の日にも訪れることはできるのですが、
現在の需要の高さから器は少なめ。
ただ、この民陶祭の2日間は各窯元の売店に
所狭しと器が並びます。
傷モノとかでも良ければ、
めちゃくちゃお得な価格のものも。
もちろんその期間も唐臼は長閑な音を響かせながら、
ゆるーく働いています。
登り窯も見学し放題です。
あの音、あの雰囲気、そして器、
ぜひ一度は皆さんに訪れてもらいたい場所です。
それが叶わない方はぜひ当店にて笑
小鹿田焼 一覧
よろしくお願い致します。
森